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佐賀地方裁判所 事件番号不詳〔3〕 判決

主文

被告人古賀賢次を懲役八月に

被告人北村春雄、同広松貞男、同寺田武次を各懲役六月に

被告人山崎善次を懲役六月及び

左記第四の(一)の事実につき罰金三千円に

同第四の(二)の事実につき罰金三千円に

同第四の(三)の事実につき罰金三千円に

それぞれ処する。

被告人山崎善次が右罰金を納めない時は金二百円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

但し被告人五名に対しそれぞれこの裁判が確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

検察事務官の差押えた機帆船大福丸の換価金十六万一千円は被告人古賀からこれを没収する。

訴訟費用(省略)

理由

第一、被告人古賀は昭和二十五年一月上旬頃福岡市荒戸町馬谷正式方において同人の仲介により、南西諸島方面との密輸計畫中であつた松永勝次、福地実、古賀善保等から同被告人所有の鮮魚運搬船大福丸(約十八頓、六十馬力)の傭船申出を受けてこれを承諾したが、その頃同被告人も右密輸の情を知つてこれに参加することとなり、右松永、福地等と共謀の上

(一)同年一月十五日福岡市博多港において福地実及び古賀善保の共同出資に係る昆布一千貫(この原価二十九万九千七百二十円)を前記大福丸に積込み、被告人古賀及び松永勝次竝に福地実の義兄岸川正弘が同船に乗込み、税関の免許を受けずして博多港を出帆し、以て貨物を密輸出し

(二)同月十七日南西諸島口ノ島に到着し、同島において松永勝次及び岸川正弘が交渉して前記昆布と白砂糖三千六十九斤(この原価七万四千八百八十三円)、黒砂糖千百九十八斤(この原価一万五千九百三十三円)とを物交し、これを前記大福丸に積載し、なお沖縄人上原松一、上原敏男、金城政一、宮城亀吉、福田和喜道と共謀して同人等所有の砂糖等を共に日本に密輸入することとし、右沖縄人五名所有の白砂糖合計九千五十斤(この原価二十二万八百二十円)、黒砂糖合計千四百五十九斤(この原価一万九千四百円)及び生牛皮二百十一斤(この原価一万二千九百三十円)を右大福丸に積載し、右沖縄人五名も共に乗船して同月二十二日口ノ島を出帆し、同月二十五日早朝有明海沖之島附近に到着し、税関の免許を受けずして、予ねて松永勝次の依頼により佐賀郡西与賀村居住の新ケ江時一等が準備していた漁船三隻に前記白砂糖の内八千二百五十斤を積み替え同日夜佐賀郡西与賀村相応に運搬して同所に陸揚げし、翌二十六日早朝同じく右漁船三隻を使用して残りの砂糖全部及び生牛皮を右西与賀村相応桟橋に運搬到達させ、以て貨物を密輸入し

第二、被告人北村、同広松は昭和二十五年一月二十七日頃福地実の依頼を受け、南西諸島方面からの密輸入品であることの情を知りながら両名共謀して前記密輸に係る白砂糖約六千七百斤及び黒砂糖約二千五百七十斤(この原価合計十九万七千六百六十円)を漁船三隻に積載して佐賀郡西与賀村相応から福岡県三潴郡大川町まで海路運搬し

第三、被告人寺田は同年一月二十九日頃森栄、山崎善次から依頼され同人等と共謀して南西諸島方面からの密輸入品であることの情を知りながら、前記密輸に係る白砂糖約六千七百斤及び黒砂糖約二千五百斤(この原価合計十九万六千七百三十円)を福岡県三潴郡大川町向島須崎幸一方物置小屋外一ケ所に蔵匿してこれを寄蔵し

第四、被告人山崎は福地実、古賀善保から依頼され、南西諸島方面からの密輸入品であることの情を知りながら、森栄と共謀の上

(一)昭和二十五年一月二十九日頃前記密輸に係る白砂糖約六千三百斤及び黒砂糖約二千五百斤(この原価合計十八万六千九百七十円)を福岡県三潴郡大川町向島須崎幸一方物置小屋に蔵匿してこれを寄蔵し

(二)右同日頃右物置小屋において右白砂糖の内約六百斤及び黒砂糖の内三十二斤(この原価合計一万五千六十五円)を内田実に対し代金十万二千二百円で売却方斡旋してこれが牙保をなし

(三)同月三十一日頃右同所において前記黒砂糖の内約千四百斤(この原価一万八千六百二十円)を右内田実を介して末次弘に対し代金十四万五千円で売却方斡旋してこれが牙保をなし

たものである。

(証拠説明省略)

法律に照せば、被告人古賀の判示第一の(一)及び(二)の所為は各関税法(昭和二十五年法律第百十七号による改正前)第七十六条第一項、刑法第六十条に、被告人北村、同広松の判示第二の所為は各右改正前の関税法第七十六条ノ二第一項、刑法第六十条に、被告人寺田の判示第三の所為は右改正前の関税法第七十六条ノ二第一項、刑法第六十条に、被告人山崎の判示第四の(一)乃至(三)の所為は各右改正前の関税法第七十六条ノ二第一項、刑法第六十条に各該当するところ、右各関税法違反罪については昭和二十五年法律第百十七号により刑の変更があつたから刑法第六条第十条により新旧比照の上いずれも軽い旧法の刑に従い、被告人山崎を除くその余の被告人に対しては各罪につき所定の懲役刑を選択し、被告人山崎に対しては改正前の関税法第七十六条ノ二第二項により各罪につき懲役及び罰金を併科することとし、被告人古賀、同山崎の以上の所為は刑法第四十五条前段の併合罪であるから懲役刑につき同法第四十七条第十条により被告人古賀に対しては判示第一の(二)の罪の刑に、被告人山崎に対しては判示第四の(三)の罪の刑にそれぞれ併合加重をし、各その刑期範囲内(被告人山崎に対してはなお所定罰金額範囲内)で被告人五名をそれぞれ主文の如く量刑処断し、刑法第十八条に従い被告人山崎の罰金不完納の時の労役場留置日数換算をし、被告人五名に対しそれぞれ刑法第二十五条を適用して二年間懲役刑の執行を猶予し、関税法第八十三条第一項により主文掲記の押収物件換価金を没収し、刑事訴訟法第百八十一条第一項により主文の如く訴訟費用の負担を命ずることとする。

よつて主文の通り判決する。(昭和二六年一〇月一八日佐賀地方裁判所)

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